ダライ・ラマ14世『ゆるす言葉』2008.8初版、2011.10第五刷 イースト・プレス
「不安に対処する有効な方法は、
自分のことを考えずに、人のことを考えることです。
本当に人の困難を目にすると、
自分のそれは大したことではなくなります」
「怒りと憎しみこそが、私たちの本当の敵なのです。
これこそ私たちが全面的に立ち向かい克服すべき相手なのであり、
靱性に時として現れる一時的な「敵」は
真の敵とは言えないのです」
「自分の欠点に一つでも気づくことは
他人の百個の欠点に気づくことより、ずっと有益なことです」
「怒りや憎しみでは、痛々しい状況や問題を解決することはできません、
それらを解決するのは、思いやりと真の優しさによる癒しだけなのです。
世界平和を持続するための手段は
「思いやりによるゆるし」しかない-そう私は思うのです」
△法王の言葉が多くの読者の共感を呼んでいるらしい。
だが法王自身が言っているように、思いやりや優しさとは
深い仏教思索の延長上に生み出されるものだということを
法王ファンの多くは知らないように思う。
『仏教哲学講義』に見るように、チベット仏教のもっとも特徴的な資質を
法王は具えているように思う。