BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

龕のことなど その1

もともとfbでは文書の蓄積に難があると思って始めたのが動機のこのblog。

だからどうしてもこんなfbの寄せ集めみたいな時もある。

当地(北秋田)では「だみ」「だみっこ」などと呼ぶこれ。
正式には四方龕とでも言ったらいいか。
檀信徒葬儀に用いる物で、火葬した後の遺骨をこれに納めて
葬送行列(野辺送り)の際に、墓所まで運ぶ容れ物(乗り物)。
数年前に実用した後、この先もう使用することがないだろうからと、取り壊し焼却することになった。集落で管理しているもので、自治会で決まったことだからと、最後のおはらいの供養(撥遣供養)に応じた。
野辺送りの廃止の背景には、集落の少子高齢化、それに平行しての葬送儀式の簡略化、という問題があり、個人的には残しておきたい習俗だというものの、いかんともしがたい事情がある。
ここ十数年で、これと同じことを5~6回経験している。
龍頭と幡を起て、米や細かく刻んだ色紙をまき散らし、鼓鈸鳴らしながら。村中総出で龕に納めた故人を墓所まで送る、という光景はすでに過去のものになっているのかもしれない。

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このだみっこ、由来に触れてゆくとそれはそれでおもしろい。

次の画像は『諸回向清規』巻四の記述。
この巻は葬儀に関する偈文や幡文が記載されているが、
龕の種類とそれぞれの偈文を引いてみた。
ここに見るように、四方、六方、八方の三形態があることが分かる。
現在の『曹洞宗行持規範』に見えるものはこのうちの四方龕の偈文ですが、昔はいろいろだった。
『諸回向清規』は戦国期(1566)に臨済宗僧侶によって編集されますが、その刊行(1657)以前より内容が流布していたらしく、曹洞宗に於いても用いられること少なくなかったよう。
龕を初めとする葬送儀礼・習俗の由来の古さを確認できる文献の一つだね。

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