BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №22「香」 巻二〈供養部〉(『和漢真俗仏事編』読書会)

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webテキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号20

 香華等の供養の功徳、各々これよりの條々に見えたり。然るにもし真言を以て花香等を加持して仏に献ずるときは、またなお功徳殊勝なり。ゆえに『大日経疏』十一に曰く、「随って華等を取るに、心念を以てこれを加持せよ。華を即ち華の真言を以て、香を香の真言を以てこれを加うるが如し。(乃至)如来の加持力を以てのゆえに、よく不思議の業を成す」と。
 ○『百縁経』に曰く、「昔、仏在世の時、迦毗羅城に一人の長者あり。一男子を生む。貌(かお)端正にして、身の毛孔より栴檀香を出し、その口より優鉢羅華(うばらげ)香を出せり。父母喜んで栴檀香と名づく。年長(た)け仏に求めて出家し、阿羅漢果を得たり。
 比丘あり。仏に白(もう)して言(もう)うさく、“栴檀香は宿世、いかなる福を植えて豪族の家に生まれ、身口より香を出し、また仏に随って出家得道するや”。
 仏の曰く、“過去九十一劫、毘婆尸仏の入涅槃後に槃頭末(はんずま)帝と云う王あり。塔を造て舎利を収めて供養す。その時に長者あり。この塔の破壊せしを覩(み)て、栴檀香を泥に和して塗る。この功徳に縁て、これより已来九十一劫悪道に堕ちず、天上人中に生じて、身口常に香しく、福を受けて快楽なり”」。
 ○『感通伝』を考ふるに、天人下って道宣律師に見(まみ)えし時、道宣の曰く、「仏の供養に先ず香を献ずるは、如何なる謂(いわれ)ぞ」と問いたまえば、天人費氏(道宣律師に答える一條なり)、答えて云く、「人間の臭気、上み四十万里に薫ず。諸天は清浄なればこれを厭う。然れども護法の仏勅を受くるを以て、下らざることあたわず。ゆえにこれがために仏事には必ず香を焼(た)かしむ」と。
 ○『僧史略』に曰く、「経の中に、須達長者、仏を請待せんと思うて、宿夜(よもすがら)楼に登って、手に香炉を取って、信心を発す。ここにおいて明日の食時には、仏、必ず来至したまうゆえに(をカ)知りぬ。香を信心の使いとなす」と。(仏教に、香を重んずること『僧史略』につまびらかなり)