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BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №56「鐘(ツリガネ)」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

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テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号29
 
 『名義集』に曰く、「犍椎(ケンチ)、『声論』に磬となして翻す。また鐘と翻す」。
 ○『増一阿含経』に云く、「もし鐘を打つ時には、一切悪道の諸苦並びに皆な停止す」。
 ○『付法蔵伝』に曰く、「昔、安息王、罽膩吒(けいにた)王を伐つ。両陣交わり戦って、罽膩吒王已に勝つ。安息王、人を殺すことおよそ九億なり。その後、馬鳴(めみょう)菩薩の説法を聴く縁によって、大地獄を免れ、大海中の中に生まれ、千頭の魚となる。しかるに剣輪廻り注いでその首を斬り、斬ればまた生ず。須臾(しゅゆ)の間に頭べ大海に満ち、苦患無量なり。時に羅漢あり。これがために犍椎(けんち:鐘なり)を打つ。これを聴く間は苦痛小し息む。ここにおいて王、羅漢に長く鳴らしたまえと願う。これに依って長く打ちたまえば、七日過ぎて苦患尽(ことごと)く息めり。
 ここに、寺、かの王に因るゆえに、次第に相承して長く犍椎を打つ。今日に至ってなお本のごとし。(『経律異相』には、「千頭魚、夢に太子と夫人に託して鐘を造らせしめて長く打つ」と云えり)。
 ○『名義集』に云く、「江南上県の民、暴(にわか)に死す。心なお暖かなり。三日にして甦(よみがえ)る。自ら語って曰く、“一の殿庭に至りければ、すなわち先君を見たてまつる。五木に縲械(るいかい)せられたまえり。それがし大いに駭(おどろ)き、〈なにゆえにかくならせたまう〉と問いければ、君の曰く、〈宋斉丘(そうせいきゅう)に誤まらされ、和州の降人千余を殺す。今、訴えられてかかる咎(とが)に遭う〉と語りたまえり。しかるに、それがしの生まれ還ると云うを聞いて、君、喜び泣いて曰く、〈吾、汝にたのまん。帰らば、今の君に遭うて語りくれよ。吾、苦を受けるに、鐘を聞く時は、しばらく休む。我がために一鐘を造って寺観に釣りて、永く鳴らせ〉と。それがし曰く、〈我は土民なり。帰りて君に告(もう)すとも、必ず疑たまわん。なにをか験(しるし)とせん〉。君、沈慮して曰く、〈吾、位に在るとき、于闐(うでん)国と交わりて、一の玉の瑞天王を得たり。吾、愛して髻(もとどり)の中に置きて、百官の朝を受く。一日、厠にゆくとき、これを取ることを忘る。これに因って頭痛を感ず。夢に神有りて、吾に謂て曰く、玉天王をば仏塔あるいは仏体の中におけ。しからば頭痛癒ゆべし。ここにおいて、瓦棺寺に至って、仏の左の膝を鑿りて、香泥をもって封ず。世に一人も知るものなし。汝、この事をもって験とせよ〉”と。
 民、すでに甦って君にもうす。君、これを疑う。民、すなわち玉天王の事を陳(の)ぶ。ここにおいて君、親しく瓦棺寺に詣りて、仏膝を剖(わり)て、果たしてこれを得たり。立ちどころに一鐘を造って、清涼寺に掛けて鐘の上に右の来由を記す」。