BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

よこみち【真読】№60「いつでもどこでも」

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 観光寺院・神社(ばかりじゃないだろうけど)でよく見かけるものの一つに、生まれ月や、生まれ年によって定められた守護仏・守護神を掲げたコーナーがある。その仏、神ごとにお詣りスペースがあり、それぞれの画像を描いたポスターがあり、根付けストラップがあり、キーホルダーがあり、シールがある。本編の三十仏・三十番神はこれの日別版というものなのだろう。
 さらにいうとそれぞれに割り当てられた宝石があり、色があり、花があり、定番では星座がある。おそらくまだまだいろんなものがあるのだろう。
 こうなってくると、いったい何から守ってくれるのかと思う。なるほどそれぞれの守護するところは神仏のご利益よろしく具体的に書き連ねてはあるものの、こんなのに四六時中護られているんだったら不幸のつけいる隙がないだろうと思ってしまう。
 あ、そういうことか。
 そうなんだね、きっと。
 こういうのを信じる人たちってとにかくまんべんなく全方位的に、しかも一年365日びっちり守ってほしいわけなんだろうね。神であれ仏であれ宝石であれ、自分を守ってくれるマジカルパワーのヴェールによって、こてこてにコーティングしたいのじゃないだろうか。
 そういえば彼の「耳なし芳一」がこれに似ているように思う。すきまなくからだ全体を経文の呪力によってコーティングしたはずが、その小さな裂け目であった耳の皮膜造りを怠ったゆえに、イタイ体験となってしまったのだった。

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 身体を覆うことと、日月という時間を覆うこととの違いはあるけど、邪悪な魔性なるものからその人を守護するという仕組みでは共通する。
 その効果の真偽はついに実測不可能なんだけど、こうしたいつでもどこでも守ってほしいという人々の願いって根強く続くものだなあ。これがあるから神さまや仏さまっていつまでも生きながらえるってことも言えるのだろうけどね。