BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №99「死後三日の斎」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

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テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号43

 問う、死後三日に僧を請し斎を設くること、世俗、「しあげの法事」と云う。これ三日に限る謂われありや。
 答えて曰く、『要覧』に「見王斎」と称(なづ)けて死後三日に勉むる事迹これあり(見王斎とは、この斎に因って焔魔王にまみえて罪を免がるる義なり)。
 『法苑珠林』に曰く、「唐の中山の即元休が『冥報拾遺記』に曰く、北斉に梁氏の人あり。死する時妻に遺言して云く、“吾れ平生愛せし奴(やっこ)と馬とを殉せよ”と。このゆえに即ち土袋を以て彼の奴を壓殺(おしころ)して殉せしむ。しかるに死して四日にして奴蘇りて言わく、“それがし、地府に到って主人に遇いけるが、鎖を以て縛られたまい、数多(あまた)の人これを衛(まも)る。視(み)るに傷(いたま)しき処に主人、見てそれがしにのたまいけるは、〈汝を連れて来たれとの命に因ってこれまでは召し来たれり。然れどもなにとぞ你(なんじ)を放しかえしたまうように、王に願い告(もう)さむ〉とのたまう処を、数多の人来てやがて主人を呵責して府に駆け入る。その時、それがし屏外において、伺い聞けば、閻魔王、大音をあげ、衛者に問うて曰く、〈昨日、脂をいかほど壓しけるぞ〉とありければ、〈八斗しぼり候〉と対(こた)うる声聞こえたり。尋(ついで)、明日、主人を牽(ひ)き出し来たれり。主人、それがしに告げて告て云く、〈今日、必ず汝は放(ゆる)されん〉と語りたまうに、また倏(たちま)ち主人を引き立て府に入る。また窺い聴けば、王、〈脂を壓せ〉と言う。衛者、対えて曰く、〈この人、死して三日に当たって、妻子この人のために斎を設く。この時、衆僧、唄を作し経を転ずる功徳を以て、鐵梁折れて脂を壓すことあたわず〉と申す声聞けり。しばらくあって主人、出てそれがしに仰せけるは、〈汝、還ること放されり。はやく帰るべし。今還らば、伝語せん。我が死後三日に当たって斎を営み追福せしに依って、大苦を免るる。しかれどもいまだ全く脱(まぬが)れず。猶お斎を営み福を修して我を救うべし。必ず殺生して祭奠することなかれ。また肉食せざれ。殺生し肉食すれば却って吾が罪を益す〉と”」。