BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №134「寄付」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号57

 今、什器など寺院に納むるを寄付と云う。按ずるに寄付の文字、『優婆塞戒経』に出たり。しかるに経の寄付の字義はあづける義にして、与ふる義にあらず。然れば今、寄付と云うは器財を寺にあずけおきて三宝の用に備える意なるか。(次下に引く経文を見て暁すべし)
 ○『優婆塞戒経』に云く、仏言たまわく、善男子、優婆塞戒を受ける者は、先ず世事を学びて、既に学通達して、法の如くに財を求むるに、もし財物を得れば、まさに父母・妻子・眷属に供すべし。その余は蔵積して用をまつべし。
 (次の)四処には寄付すべからず。
 一には老人。謂く、年老の人、死日漸く近し。ゆえに所有の財物まさに彼に寄付すべからず。
 二には遠処。謂く、道路隔遠の処、緩急のとき要用あれども取討に及び難し。ゆえに所有の財物まさに寄付すべからず。
 三には悪人。謂く、不善の人は稟性凶悪にして、もし財物を見れば貪奪の心を生ぜんことを恐るる。ゆえにまさに彼に寄付すべからず。
 四には大力。謂く、豪強の人、勢力を倚持して、もし財物を見れば貪奪の心を生ぜんことを恐るる。ゆえにまさに彼に寄付すべからず。