BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

よこみち【真読】 №144「おまえはどうだ?」

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 与えられた定命業をまっとうせず、不慮にして夭死してしまうことを非業の死と言うなら、それは普通のことではない。それゆえに非日常的なことであり不合理なことでもあり、絶対的少数なことであるはずだ。
 しかし七年前の三月十一日に起こった出来事はその不合理なことが圧倒的多数となった。国内のニュースでは公開されなかった人体の損壊を含む現地の惨状が、海外のメディアでは放映された。しかし多くの日本人が目にすることのなかったその光景は現地の人々にとってはごく一握りのものに過ぎなかった。あの体験を乗りこえた人々がこれからの日本の礎となることを信じている。あの体験によっていのちを喪われた人々があの世からこの世の成り行きを見守っていると信じている。
 ほんの四日前まではさかんにそんな空気を煽っていたメディアは、(ごく一部を除けば)今日はすっかりおとなしくなって、いやそのことを忘れたように他のできごとをつつきまわしている。
 メディアだけではない。311に乗り遅れまいと現地へ向いていたさまざまな動きが、その日を過ぎたとたんになりをひそめてしまった。
 たまたま本編を読み進めてきてこの機会にめぐりたった「非業の死」という項目。そんなことをふり返る試金石のように用意されていたのかもしれない。