【世読】No.1 「息災」巻一〈倭文用語類〉(web読書会『世説故事苑』)
これ真言家(しんごんけ)より出づ。護摩の法に息災(そくさい)、増益(ぞうやく)、降伏(ごうぶく)、慶愛(けいあい)等の異あり。息災とは災(わざわい)を息(やむる)と云う義なり。外(げ)には水火等の災い、内(ない)には病悩(びょうのう)等の災いあり。この如くの諸の災を息る法を息災護摩の法と云う。俗に恙無きを息災と云うはこれなり。
○慧琳の『略説護摩法』に曰く、「梵には扇底迦(せんちぎゃ)、唐には息災と云う。」
○『大日経』「護摩品」に云く、「これはこれ息災の法なり。災いに無量有り。謂く外(げ)の世間水火虫霜降蝗等の種種の災耗(さいごう)及び内身の一切の病悩の類の如き、その形万端(ばんたん)なり。自身他身みなよくこの障を浄除す。またこれ息災の義なり。」