BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №112「冥途の鳥」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

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テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号47

 問う、葬送の龕などに居る冥途の鳥は杜鵑(ほととぎす)の事と聞く、然るや。
 答えて曰く、これ『十王経』に襤褸鳥(らんるちょう)と化し来て別都頓宜壽(ほととぎす)と鳴くと云えるを倭俗誤って子規(ほととぎす)とす。けだし別都頓宜壽はこれ梵語なり。何ぞ倭語に用いて杜鵑(ほととぎす)とするや。それ襤褸は布穀の事にして鳩の流(たぐい)なり。彼の経文をみてよく暁(あきらか)にすべし。
 『十王経』に曰く、「閻魔の卒、三魂を縛して関の樹下に至る。二鳥、棲(す)み掌(つかさ)どる。一を無常鳥と名づく。二を抜目鳥と名づく。我、汝が旧里に化して襤褸鳥と成りて、怪語を示して別都頓宜壽と鳴く(この鳥、呉語には〈祈家命鳴〉と云うに近し)。我、汝が旧里に化して烏鳥と成りて、怪語を示して阿和薩迦と鳴く(この鳥、呉語には〈病来〉と云うに近し。将に命尽くべし。私に云く、これ皆な無常を示し鳴くなり)」。