梅花流以前の梅花 その2
曹洞宗梅花流詠讃歌発足以前の社会状況を、
とくに仏教教団、それも曹洞宗教団を主軸に調査してみたい。
そのためにどんな手があるか。
まず考えられるのは、当時の曹洞宗教団を含む仏教界の動きを鳥瞰的に見るアングル。
具体的には仏教系の新聞、雑誌、機関誌、それも日刊・週刊・月刊・季刊など逐次刊行物がいい。
射程とする期間は、第二次大戦末期から昭和二〇年代全域。
今のところ対象として目論んでいるのは
『曹洞宗報』『大法輪』『大乗禅』『道元』『中外日報』など
ほかにも戦前の状況は『第一義』『獅子吼』ほか
(駒澤大学教授の熊本英人氏がこのあたりのことは目録化している(大正・昭和初期の曹洞宗の宗勢とその思潮―曹洞宗関係雑誌記事分類目録稿1~3)
また戦後には『在家仏教』ほかがある。
実際に頁をめくってわかったのは、多くの雑誌がこの該当期間中、長短期に関わらず休刊となっていること。その時期は終戦直近とその後である。
各雑誌がその理由を明かしているけど、
終戦直近は、その混乱によって
戦後は、物資(主に用紙)の不足や経営難が原因。
よって通時的・連続的に俯瞰できるかというとそう言うわけでもなく
それぞれに断続箇所はあるけれど、
複数の刊行物を寄せ集めればその切れ目もフォローできるかも知れない。
この作業に合わせて、「昭和」戦後期をテーマにした研究成果を参照してゆくことになる。
講談社、毎日新聞社、週刊朝日百科のシリーズはとりあえず手元にある。
個別の研究成果は膨大にありそうだが、
これまで見てきた中では、ジョン・W・ダワーの仕事から大きな示唆を受けている。
(『敗北を抱きしめて』『昭和』『容赦なき戦争』『吉田茂とその時代』『忘却の仕方、記憶の仕方』)
ともあれ随時の添加、修正を見込みながら作業を開始していこう。
一つめの素材は『大乗禅』である。