BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

2015-01-01から1年間の記事一覧

よこみち【真読】№64「ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば」

「お檀家さんから、“なんで葬式や法事をしなくちゃいけないんですか?”って聞かれたんですが、なんて答えたらいいんでしょうね?」 という質問を受けることがある。複雑な思いがする。「檀家さんをうならせるような、うまい言いかたないもんすかね?」 とあ…

吉祥寺の権藤圓立(5)妻・はなよ「ささのはさらさら」

吉祥寺時代の権藤圓立の足跡をたどろうというこの試み。およその土地勘を把握したあとは圓立の動向に踏み込んでいこうと思うのだが、その前に一つ触れておきたいことがある。圓立の妻、はなよのことである。 はなよは明治32年に山梨に生まれ、大正13年に圓立…

【真読】 №64「忌日に僧を請して斎を設く」 巻三〈祭礼部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号33 『梵網経』に曰わく、「父母、兄弟、和上、阿闍梨、亡滅の日(息日なり)、および三七日ないし七七日、またまさに大乗の経律を読誦し、講説し、斎会して福を求むべし」と説きたまえり。…

よこみち【真読】№63「いかがわしい書物」

よこみち【真読】№63「いかがわしい書物」 このたびややカタイ内容である。めんどくさい人はスルーでどうぞ。 今回の設問、答えに引いているのは「聖徳太子の『礼郊本紀』(旧事本紀第五十三)下巻」というもの。 この書、『先代旧事本紀大成経』(以下、大…

【真読】 №63「年忌の追福」 巻三〈祭礼部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号32 問う、「人、死して初七日より七七日までの追福は、内典に出たり。中陰以後、一周忌、三年忌ないし三十三年などの事はいまだ考えず。これ本拠ありや」。 答えて曰わく、「これ経軌の本拠…

よこみち【真読】№62 ANNIVERSARY

「誕生日ってさ、一年と一日経ったときなんだよ。だって誕生日から365日経った日は次の年の誕生日の一日前でしょ。誕生日になると366日だよ。だからもし一歳の誕生日だったら、“一歳と一日の誕生日おめでとう”て言わなくちゃおかしいよ」と小さかったある日…

吉祥寺の権藤圓立(4)圓立邸跡

童心居のある動物園から、吉祥寺通りを左へ。そのまま北に向かう。ほどなく吉祥寺駅を右に見て、立体交差になっているJR中央線の下をくぐる。権藤、野口、藤井の三人がいた頃からこの線路はあったのだろうか。だとすればまだ架橋にはなっていなかったろう…

【真読】 №62「祥月」 巻三〈祭礼部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号32 毎年の忌日を祥月と云うはいかん。 答えて曰く、「『礼記』に拠るに、親亡くして十三月の祭りを小祥と云う(一周忌なり)。二十五月の祭りを大祥と云う(三年忌なり)。すでに一周年・三…

よこみち【真読】№61「人口増加の問題点」

「ののさま。あのしゃなんし、おら、嫁さ来た時、しゅうとさまがらしかっと教わったごどあってなんし、それはし、家の仏さまのたち日来たらなんし、必ず忘れねでお膳ここへで上げれって教わったものなんし。しだがら今までおらの息子さ嫁っこもうらうように…

吉祥寺の権藤圓立(3)旧野口雨情書斎・童心居

吉祥寺時代の権藤について関心を持った経緯は上述の通りだが、はたして漠然と吉祥寺の街に行ったとしてもどのようにその足取りを探ればよいのか。数年前まではその方途を考えあぐねていた。だがこれまで資料やフィールドなどいくつかの手がかりを訊ねてきた…

吉祥寺の権藤圓立(2)梅花流と圓立

箱根・小涌園 第二の曹洞宗梅花流との関わりについては既刊の梅花関係資料に周知のところだが、あらためてそれに関する情報を整理しておこう。 現行『梅花流指導必携・解説編(資料)』(以下、必携資料)(平成25年5月発行・改訂第4版)の「梅花流年表」に…

【真読】 №61「忌日」 巻三〈祭礼部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号32 父母の死せる日を忌日と云うは、『礼記』の「祭儀」に曰く、「君子、身を終えるの憂いあり。忌日の謂いなり。(注)忌日とは、親亡(ほろぶ)るの日なり」(已上)。言(いうこころ)は…

よこみち【真読】№60「いつでもどこでも」

観光寺院・神社(ばかりじゃないだろうけど)でよく見かけるものの一つに、生まれ月や、生まれ年によって定められた守護仏・守護神を掲げたコーナーがある。その仏、神ごとにお詣りスペースがあり、それぞれの画像を描いたポスターがあり、根付けストラップ…

吉祥寺の権藤圓立(1)駒澤大学と圓立

なにかに急かされるようにその場所へ行きたくなったり、誰かに逢いたくなったりすることがある。今回もその一つだった。 宮崎県延岡市の光勝寺を訪れてからまだ二週間を経ていない。12月10日、東京は武蔵野の吉祥寺を訪ねた。権藤圓立の足跡をたどってみたい…

【真読】 №60「霊簿(れいぼ・かこちょう)」 巻三〈祭礼部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号32 今の世の霊簿は、これ経軌の中に出るものに非ず。唐の戒禅師、天使の勅を奉じて一月の三十日に三十仏を配す。朔日・定光仏を首(はじ)めとして、晦日・釈迦如来に終わる。これを録して…

よこみち【真読】№59「いかがわしいジャンル」

前にも話題にしたけど、霊魂とか死後の世界というジャンルを嫌いなお坊さんがいる。 いわく「タマシイなどあるはずがない」 いわく「死後の世界などを気にかけているヒマがあったら、今日この時のいのちをせいいっぱい生きてみろ」 だいたい、こういう人達は…

【真読】 №59「位牌」 巻三〈祭礼部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号31 儒家に用いるところの位版(いはん)、または神主(しんしゅ)と名づくるものこれなり。仏家にもこれにならいて仮り用ゆるものなり。 儒家の式を尋ぬるに、栗の木、長さ一尺三寸五分ある…

【真読】ちょっといっぷく(三)『真俗仏事編』のひろがり

№58までで巻二を終わる。これまで通りチョイスした結果だから、採りあげなかった項目についてはそれぞれweb本文をご覧いただきたい。 「いっぷく」はこれで三回目。本文の内容を離れたところから『真俗仏事編』をめぐる問題を採りあげてきた。 「いっぷく(…

よこみち【真読】№58 「蒲牢、ねえ」

どなたか、おわかりの方は教えていただけないだろうか。 この度の本編、龍と鐘にまつわる由来譚。 そこで自然と浮かぶのがこれ。 ご存じ、梵鐘の「龍頭」である。 なるほど本編の引く『西域記』の故事は、龍頭の由来であったのか、と短絡に思ったのだが、ど…

延岡の権藤圓立 (5)圓立と延岡

権藤円立が野口雨情の招きにしたがって居を大阪から東京の吉祥寺に移すのが大正14年。その翌年には藤井清水も二人の近所へ転居している。だから 「延岡の権藤圓立(4)凡人会」で示した、延岡での講演・演奏活動は、大阪から東京へと移ってもなお続いていた…

延岡の権藤圓立 (4)凡人会

光勝寺境内に建つ「権藤正行師立像」。 現在の宮崎県立延岡高等学校は、旧制の延岡中学校、同じく旧制延岡高等女学校を併合して今のかたちとなる。旧制延岡中学校は、明治初期、延岡藩主・内藤氏によって創設された延岡社學に端を発し、後、亮天舎と名を改め…

延岡の権藤圓立 (3)長兄、権藤正行

権藤圓海の長男・正行師(以下敬称略)。圓立よりも十歳年長のこの長兄の存在が、音楽家として成長した圓立にとっても重要な存在であったと思う。その理由を述べる前に、まず正行その人の輪郭をたしかめておこう。 (権藤正行師写真・光勝寺広間) 昭和47年…

延岡の権藤圓立 (2)父、権藤圓海 

圓立の父・権藤圓海について、現在79歳、圓海の曾孫に当たる権藤正樹師は、 「たいへん厳しい人で、また漢文がよく出来たそうですよ。私の祖父。正行(圓立の長兄)が子供の頃から漢文の勉強を教えて、毎朝学校へ行く前にその勉強が終わらなければ学校へやら…

【真読】 №58「悪龍、鐘を聞けば瞋(いか)りを息(や)む」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号30 『西域記』一に曰く、 雪山の頂きに池あり。雨を請い、晴れを祈るに、必ず願いを果たす。この縁起を尋ねるに、昔、健駄羅(けんだら)国に阿羅漢あり。常にこの池の龍王の供養を受く。 …

延岡の権藤圓立 (1)浄土真宗・小林山光勝寺

権藤圓立(1891~1968。文中の人名は原則として敬称略)は延岡市船倉町・光勝寺十代住職、権藤圓海の五男として生まれる。 光勝寺は山号を小林山という。 当寺十二代住職。正樹師がまとめた文章に依れば次のように紹介してある。 小林山光勝寺は、本願寺第十…

延岡の権藤圓立 (序)川のある街 

宮崎県延岡市。 五ヶ瀬川と大瀬川がゆっくり河口へ向かう。その二つの川つに挟まれた市の中心街が冬の朝陽を浴びてゆく。 延岡の友人が昨夜案内してくれたBAR KOBE。 私と同い年だという女性オーナーの作ってくれた3杯のカクテルが思ったよりも残っている。…

よこみち【真読】№57「タマシイが来たら磬を鳴らせ」

私がまだ小学生の低学年頃だったと思う。夜、まだ建てかえる前の古い庫裡に祖父母と三人で居た時のことだった。 本堂の方から、「ゴーン」と磬子の音が聞こえた。遠い音だったが明らかに磬子の音とわかった。私だけの空耳でない証しに、居合わせた祖父母も音…

【真読】 №57「鐘を聞けば、善心を生ず」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号30 およそ鐘磬を聴けば、覚えずしてたちまち善念生ずるは自然の理なり。ゆえに臨終の人には、これがために鐘を打ち聞かしむ、この謂われなり。これを無常鐘と名づく。『釈氏要覧』に詳らか…

よこみち【真読】№56「山のお寺の鐘が鳴る」

鐘に関わる偈にはいくつかあるらしい。曹洞宗の修行道場では梵鐘を打つ際に「鳴鐘の偈」というものを唱えるよう教えられる。「三途八難(さんずはちなん)、息苦停酸(そっくじょうさん)、法界衆生(ほっかいしゅじょう)、聞声悟道(もんしょうごどう)」…

【真読】 №56「鐘を聞けば、偈を誦せよ」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

鐘の祟り・・・? テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号29 『諸経要集』に云く、「鐘を聞いて臥して起たざれば、護塔の善神嗔(いか)りて祟りをなす。現在は福薄く、来世は蛇身を受く。ゆえに鐘を聞けば偈を誦すべし。偈に曰く…