BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

2016-01-01から1年間の記事一覧

【真読】 №111「六地蔵」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号47 具(つぶさ)には『谷響集』の中の如し。しかるに菩薩は普現色身三昧に入りたまへば、無辺の身を現ず。観音の三十三身の如し。今、六地蔵は六趣に普現したまうなり。 ○『元亨釈書』に曰…

よこみち【真読】№110「古い人間とお思いでしょうが」

「生まれ変わって花になる」 「自然の大きな循環の中に回帰する」 自然葬の魅力をアピールするコピーはなかなかキャッチだ。 今回の本編もまさにこうした自然葬が「上品」の葬法なのだと後押しをするような典拠になりそうだ。 実際には身肉を焼却して残った…

【真読】 №110「三葬、功徳の勝劣」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号47 土葬・火葬・水葬と云う。これを三葬と云う。 土葬は身形を全(まった)からしめんためなり。哀情の甚だしき故になす処なり。 火葬は骨を親類に分布せんためなり。これ釈迦の荼毘になら…

よこみち【真読】№109「ガチです、TORII考」

このたびのテーマ「とりい」。正面から取り組むことを逃げてばっかりの「よこみち」ではあるけれど、今回はそうもしていられない。なぜかと言うに、ある程度お里の知れるものであればこそ、ちょろりと横からくすぐる面白さもあるのだが、今回本編「華表」の…

【真読】 №109「葬場の華表(とりい)」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号47 問う、今、葬場に華表(とりい)を構えるは何の故ぞ。 答えて曰く、『古今注』に、華表を釈して「また以て衢路を表識す」と云へり。これに拠れば、元と路筋を知らしむる為に立つ。故に今…

よこみち【真読】№108「絶句」

生まれてから五歳の頃まで秋田市内の寺町通りにあるお寺で過ごした。そのお寺に県の宗務所という宗派事務局があり、父がそこの職員をしていた。同時にそのお寺の法務手伝いをしており、妻を娶り、妻はお寺のまかない手伝いとして二人一緒に住み込み暮らし。…

【真読】 №108「寺内の葬り」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号46 寺は三宝の住所なれば、死骸を葬ること不浄の咎あらむ。 答う、律に制せざれば苦しからず。『行事鈔』下に云く、「高僧伝に多く寺中に葬する者の有り。 経律の中にまたこれ有り。『僧祇…

よこみち【真読】№107「礼塔」

金髪、ピアスで黒革の上下。金属ボタンの革ブーツ。ついありがちなキャラの型にはめたくなりそうなその若い男性が一人で墓参。先年両親を亡くした。小一時間も墓所にいただろうか。また一人帰るその姿に思うところは少なくない。 不在となった人に寄せる思い…

【真読】 №107「礼墓」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号46 『行事鈔』下に、師塚に拝すべきの問答あり。 ○『五百問』に云く、 問う「生ける時こそ師なり。死してはその師、枯骨と成る。枯骨を拝して何にかする」。 答えて云く「仏も涅槃後には枯…

よこみち【真読】№106「神国日本」

本編の末尾に云う「随方毘尼」とは、時宜に随って既定の律を融通させることを云う。「一応決まりではかくかくしかじかなんだけど、ここではケースバイケースでいいよ」ということだ。前にもこれに似たことがちょっとあったけど、日本は神国だから、という編…

十日がかりの味わい

12月3日。 豚バラかたまり肉、約1㎏を5枚購入。 2%の塩とブラックペッパー適量をなすりつけ、ローリエを貼り付けてジップロック。 空気を閉め出して密閉し、冷蔵庫に入れる。一~二日に一度、上下を返し、塩分を馴染ませる。 七日目の9日。大鍋に水…

【真読】 №106「僧の服忌」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号46 僧には服忌無しと云う俗説あり。如何。 答えて曰く、これ律に拠るか。『行事鈔』下(送終部)に云く、「比丘は須らく服を変ずべからず。常に依るを要とす」(文)。元照の『資持記』の釈…

よこみち【真読】№105「九想図」

死の忌みに関する禁忌。今日、ほとんどの場合これは前近代的なこととして、具体的に取り扱うべき問題とするテーブルからは退けられる。文字通りタブーになっている。今回本編の主題となっている「死(屍)の穢れ」のことだ。 いわく、「これまで親しく過ごし…

【真読】 №105「服忌」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号46 問う、喪服の者を忌み、穢火を忌むは何故ぞ。 答えて曰く、『貞観政要格式』に曰く、「昔より吾が朝は神国にして重服・血気を忌む。故に土葬、野葬を法と為す(已上)」。重服・血気とは…

よこみち【真読】№104「我が身は親の形見」

惜しからぬ身ぞ惜しまるるたらちねの 親ののこせる形見と思へば 僧、日政(1623~1668)。 日本仏僧史上、最も親、就中母親に孝養を尽くした一人として知られる。 もと彦根藩主井伊家に仕え、後、日蓮宗に出家し、元政の名を日政に改める。 仏教学はもとより…

【真読】 №104「形見の衣」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号45 亡者形見の衣を律には唱衣と称(なづ)く(唱衣の義、下の『十誦律』を以て知るべし)。僧、死してその衣を衆僧に分かち与うに、多人には等分に別け難し。このゆえに仏、大衆を集めてこ…

よこみち【真読】№103「なんのため?」

「一重積んでは父のため、二重積んでは母のため、三重積んでは・・」。 賽の河原に子ども達が積み上げる石の塔。娑婆に残った父母への供養塔だとか。だから亡き人を思って石を積むのは賽の河原伝承に由来する・・。ほんとうだろうか。 亡き妻との約束を果た…

【真読】 №103「石塔」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号45 墓石の本説は『西域記』に云く、「表を立つ」と。 『寄帰伝』に云く「作倶攞はみな塼石を畳んでこれと為す。形、小塔の如し。上に輪無し。けだししばらく塔を立てるに三の意あり。一には…

「長岡昭臣」師を訪ねて

10月26日。長井駅前・和泉屋の一室で目覚めた朝、窓から青空がのぞく。昨日過ごした東京の空気よりも温かい山形県長井市。今回の引き合わせをしてくれた同市の小野卓也さんが宿に迎えに来てくれた。 小野さんの車でほど近い真言宗・摂取院に着く。豊山派に属…

よこみち【真読】№102「MOTTAINAI」

恐縮ながら楽屋オチの話である。 卒塔婆の書き損じということがある。 卒塔婆を使う頻度にもよると思うがおそらくどちらのお寺でも数の多寡は別にしてそれなりの本数が生じると思う。 ごく一般には表書き、裏書きの両面に墨書することが多いはずだ。表書きの…

【真読】 №102「率都婆(そとば)」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号44 五輪の塔婆はこれ大日如来の三摩耶形なるがゆえに、麤(あら)く刻める小卒都婆なりとも如来法身の法界塔婆なり。または法界体性の標幟とす。彼の弥勒慈尊五輪塔を持したまうも、衆生所…

よこみち【真読】№101「よりどりみどり」

a 一書に曰く、「死亡した以上は成仏していただかねばならない。そのための中陰供養である。そして満中陰をもって成仏した、ホトケ、先祖霊となったので、これはなくなったことは兎も角としてお祝い慶事である。そこで数ある食物の中で、一番ありがたい美味…

【真読】 №101「四十九の餅」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号45 七七日に四十九の餅を営むことこれ本朝の風俗にして由来久し。然れども起こり分明ならず。 『福田纂要』に曰く、「四十九の餅は、人間四十八の大骨・五体・五輪を表す」と云へり。謂く、…

よこみち【真読】№100「セブンの誘惑」

本編「七七日の追福」について、追福とは「福分の追加」。これについては「廻向」の項で触れた。 http://ryusen301.hatenablog.com/entry/2016/01/08/094022 ここでは「七七」について。 七×七=四十九というわけで、「累七」という言い方もあるが、古今東西…

【真読】 №100「七七日の追福」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号44 七七日の斎を営み追薦する所以を問う。 答えて曰く、これを累七と云い、または斎七と名づけて最も勉むべき事なり。およそ命終する、すなわち中有の身(人身に似て識を伝う、これを中有と…

よこみち【真読】№99「つじつまの合わない話」

仏教の、それも現場で行われている仏事習俗を仏教の教説でどう説明しているかということをちょっと勉強した人であればよくおわかりのことと思うが、つじつまの合わないことなんてゴマンとある。そのちょっとも勉強していない人の中には、そんなつじつまの合…

【真読】 №99「死後三日の斎」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号43 問う、死後三日に僧を請し斎を設くること、世俗、「しあげの法事」と云う。これ三日に限る謂われありや。 答えて曰く、『要覧』に「見王斎」と称(なづ)けて死後三日に勉むる事迹これあ…

よこみち【真読】№98「骨まで愛して」

聞いた話である。秋田出身の人間がO府にて亡くなった。同地のとある火葬場に会葬した秋田の親戚が驚いたという。骨上げまでのだんどりはおおむね一緒だが、お骨を入れる容器がかなり小さい。秋田の一般的なサイズのほぼ三分の一という。大きめのリンゴがちょ…

【真読】 №98「灰寄せ」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

骨あげのことですね、あっ! すいません画像間違えました。 こっちでした。 テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号43 火葬には灰寄せあるべし。古より伝う、これ世尊の荼毘の遺意なり。涅槃し雙林には七日にして薪尽きるが故に、…

よこみち【真読】№97「弔問のお作法」

本編にて「行て弔う法、ならびに弔いを受ける法、『行事鈔』に見えたり」とあった。この『行事鈔』とは『四分律行事鈔』と言い、中国僧・道宣(596-667)の手によるもの。『四分律』とは上座部に伝えられた戒律書で、中国・日本に大きな影響を与えたと言われ…