BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

七左衛門の除蝗録 その8

 ここでは便宜的に七左衛門の「除蝗録」という書名を掲げてきましたが、七左衛門の著した正式な書名は『羽州秋田蝗除法』と言います。先ずはこの書の輪郭について述べていきます。
 『羽州秋田蝗除法』について(一)
 一、本書の所在
 本書はもともと、七左衞門の暮らした北秋田市七日市・長岐宗家に所蔵されていたものと思われます。ただ、現在は長岐家蔵書の中にそれは伝えられていません。また長岐文書を1529点移管保存している秋田県公文書館の長岐文書資料の中にもそれはありません。ではどこに所在があるのかというと、それは明治18年1月に刊行された『歴観農話連報告』第3号という農業雑誌に掲載されたもので確認できます。この書は秋田県の農業指導者として名高い石川理紀之助(1845-1915)がその仲間たちと主宰刊行したもので、秋田農業に資する先人の業績を、蒐集・書写・翻刻して世に広めようと刊行したものです。ここに掲載されているということは、石川を初めとする明治初期の秋田農業者達にとって、本書の意義が高く評価され、注目されていたと言うことを示しています。なお、この『歴観農話連報告』は写本として、長岐家蔵書の中に伝えられています。おそらく七左衛門の自筆本、あるいは後人の写本などは散逸したのかもしれません。
(画像は『歴観農話連報告』第3号目次の一部)

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