BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

長崎七左衛門

七左衛門の除蝗録 その8

ここでは便宜的に七左衛門の「除蝗録」という書名を掲げてきましたが、七左衛門の著した正式な書名は『羽州秋田蝗除法』と言います。先ずはこの書の輪郭について述べていきます。 『羽州秋田蝗除法』について(一) 一、本書の所在 本書はもともと、七左衞門…

七左衛門の除蝗録 その7

以上の方法は「鯨油」の調達に比較的容易だった九州地方で流行していたものでした。(その1)で触れたように、この『除蝗録』は七左衛門の死後に出版されたものです。七左衛門在世当時、まだ東北にはこうした「注油駆除法」は広まっていませんでした。じつ…

七左衛門の除蝗録 その6

注油駆除の具体的方法(三)先の図に続いてこれも実際の稲虫の退治のようすです。右から順に、しなへ竹、ははきをもて稲葉に付きたるむしをはらふ図、油を入れわらははきにて水をまぜる図、水に油をさしている図、稲葉にのぼりたる虫をはきとる図、あぜにて…

七左衛門の除蝗録 その5

注油駆除の具体的方法(二)水を入れた田に油膜を作る方法は図のように他にもあります。竹の筒に油を入れて水中に注ぎ入れる。水中に油を入れ、その水を稲葉に椀をもてくりかける。稲葉にのぼる蝗を竹のむちにてたたき落とす。しじみ貝のさじにて油を入れ、…

七左衛門の除蝗録 その4

注油駆除の具体的方法(一)水口より油を入れ、また水をくみいれて、田一面に油を行き渡らしむる図。さてすでに水を干して立ち上がった稲に虫がついた場合、もういちど田に水と油を入れて、水口を塞ぎます。これは、田一面に油膜を作るためです。

七左衛門の除蝗録 その3

稲虫退治のために鯨油をどのように使うのか。 それには図のような道具を用いて使います。油水を入れる桶や、油を振り入れるためのシジミ貝を柄の先に付けたさじ、油水を入れる壷や竹筒、ほかに棒や箒、笹竹などがあります。 油を使って稲虫を退治する方法は…

七左衛門の除蝗録 その2

大きな音で追い払い、松明の灯火に集めるとは言っても相手は虫。その実効性はかなり不確かなとこがあります。でもそれにさえすがらなければならなかったのが、それまでの稲虫対策でした。 そこで注目されたのがクジラでした。図は、『除蝗録』に掲載されたク…

七左衛門の除蝗録 その1

江戸時代、北秋田の肝煎・長崎七左衛門が著した稲虫退治の方法は、いろんな意味で画期的な意義がありました。その周辺の事情をしばらく綴っていきます。まずは稻虫退治方法のバイブルといわれる『除蝗録』という本があります。これは七左衛門没後、6年を経た…

長崎七左衛門

長崎七左衛門(1731年-1820年) 秋田県北秋田市七日市(旧七日市村)長岐家7代目の当主。久保田藩坊沢村の長崎清左衛門の四男として生まれる。その後、七日市村の長岐家に婿入りし、25歳で長岐家の7代目当主となった。ただ、七左衛門は婿入りしているのに、名…