BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №106「僧の服忌」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

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テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号46

 僧には服忌無しと云う俗説あり。如何。
 答えて曰く、これ律に拠るか。『行事鈔』下(送終部)に云く、「比丘は須らく服を変ずべからず。常に依るを要とす」(文)。元照の『資持記』の釈にこれを明文として、僧には喪服無きことを弁ぜり。また元照の『六物図』の釈に、彼の『釈氏要覧』「補教編」に、僧の喪服の制を述ぶることを破せり。恐らくはこれを本説として、吾が俗もまた僧に服忌の穢れなしと云うなるべし。
 謂うこころは、沙門は俗を出て既に如来法王の子となる故に、常に如来の衣を纏い素(もと)より無垢清浄なるを以て、在家の如く服忌の穢れなし。ここを以て神明も沙門には火の汚れを忌まざるの理なり。実に秘軌の中には「瑜迦行者は世天を礼せざる」の明文すらこれあり。神、いずくんぞ僧の穢火を看たまわんと云うここころを論ずるなるべし。
 然りと雖も吾が朝は神国なれば、意趣各別なり。僧もまた俗の如く服忌を守るべし。これ則ち随方毘尼なり。