BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

よこみち【真読】 №143「HAPPY BIRTHDAY」

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 子供の頃、誕生日と云えば友達を呼んでささやかな会食をしたり、親から玩具をもらって喜んだりという思い出がある。自分が子の親になってつくづく思うのだが、あれは親が子供の喜ぶ顔を見たくて行う家庭行事だったのだなとふり返っている。
 そんな俗っぽいことが仏教経典にも典拠があるということは意外なことだった。と同時に、それを意外と受けとめたということは、まだまだ自分には世俗の対極にあるものが仏教だという幻想が根強いのだなと反省した。この『真俗仏事編』を読みすすめてくるうちにしばしば経験したことは、ステレオタイプのように思っていた真(仏教)と俗(世俗)のあいだには思っていたほどの深い溝はなく、どちらも人間のいとなみとして同じ地平に根ざしていたという「気づき」だった。
 人間が考え出し、時を重ねるほどに遠い高みへとそのイメージをふくらませてきた仏教が、ほんとうは日常的、普遍的な人間の考えの内にあると云うことを、いつしか私たちは忘れていたのかもしれない。そんなことを今回もまた気づかされちゃったな。
 お誕生日おめでと。