「お盆」十題 その2 “夢”
昨夜(8月11日)、夢を見た。ふだんは見た夢などほとんど憶えていることがない。
学生の頃、寄宿していた東京のお寺の学寮で一緒だった一つ下の後輩と逢った。
少し離れたところで、こっちを向いて遠慮がちに視線を送っていた。「おお、なつかしいなぁ」とこちらから声をかけたような気がする。なにせ卒業以来30年ぶり。東京出身の彼は、新潟のお寺に入り、いまもそこで暮らしていると聞いていた。こちらの声に控えめなおじぎを返してよこした。
目が覚めて、最前まで夢のことは忘れていた。
メールが届いた。
夢の彼の同期生で、一緒にお寺の学寮生活をしていた北海道の友人から。
「新潟の彼が亡くなりました」。
お盆の出逢い、あるいは別れ、か。