春遊小景
朝イチで銀行へ行き、昨日から中途だった会計事務を片付ける。
プリンタの上にC学会の講演リライタ校正。昨年の一月末までに提出〆切のもの。
PCの横に抄物翻刻読解のテキスト。今月後半に発表担当。
仏間の座卓にR寺所蔵資料。連休明けに目録提出予定。
机の上にKG会の案内リスト。できれば今日のうちに郵便発送したかったもの。
〈なんとかなるだろう〉と決めたところへメール受信。「先日の件ですが、まだでしょうか。なにかありましたか? ご連絡お待ちします」と。D誌に連載している原稿の催促。〆切は今年の一月末だった。「遅くなってごめん、明日届ける」と電話で応える。
春霞? 大気の澄明さこそないが、山桜が交じり、若芽・若葉がふくらんできた樹々をたたえる里山は淡い粧いを始めている。
一週間ほど前だったか、お茶の席上話題になった山奥の村はずれにあるというそこへ行きたい、そんな動機のタネが仕込まれたのは。
道々、景色に惹かれては車を停める。一眼レフを持ってくればよかったかとちらりと思ったが、すぐにどうでもよくなった。
「そこの集落は、もうそれから先へは抜けられないんですよ」。
その地域で最奥の山村らしい。
谷間の集落に茅葺き屋根がちらほらと見えてくる。
雪が消え、土を起こしたばかりの田んぼ。ここに水が引かれるとさながら湖面のように山や空が映し出されるようになるのだろう。
目的の案内板へ到着。ネコ好きにはぴくっとくる? でもネコのことではないらしい。
まだ葉の小さい山道は落ちてくる陽の量が多いためか明るく感じる。
馬場目川に沿って上流へ歩くこと数分。
これがその奇観。
観賞用のつりしのぶをそのまま巨大化したような、なんだかジブリのアニメに出てきそうな姿。周囲の崖から崩れ落ちた巨岩に、長い年月の末に根を張り成長したものらしい。岩自体は約6メートルの高さという。岩上に起ちあがる樹高をいれるとどれくらいになるのだろう。
森林軌道の名残だろうか。人造の鉄細工が山の精気に侵されているようでおもしろい。
近くの集落に、かつて中学の冬期分校だった建物を改築して出来た農家レストランがあった。となりには宿泊可能という古民家がある。
http://www.seiryunomori.com/restaurant/index.html
あらかじめチェックしていた「森カレー」をねらっていたのだが、それは六月からとのこと。春だけやっているという「春いっぱい丼」をいただく。
川魚(イワナ?)、春の山菜各種が素材となった天丼。これで600円。
自然に触れて・・などときれいなことは言わないが、やはり渓流や森の緑にふれると気持ちがいい。秋の紅葉の時期もいいだろう。
さて、帰ったら先ずD誌の連載原稿からやろうか。