BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

2015-01-01から1年間の記事一覧

よこみち【真読】№56「異界の力」

画像は「恵信尼夢告」 本編、『付法蔵伝』や『名義集』のエピソードに見るように、現在の仏事の由来を、あの世の出来事から説明する例がよくある。ともすれば荒唐無稽なこうした手段が、たしかな説得力を持ち得てきたのはなぜだろう。蘇生譚や霊夢譚など、今…

よこみち【真読】№55の続き 「きっかけは〈鈴〉」-戒名のこと-

よこみち№55で戒名のことに触れた折、いく人かのコメントをいただいた。僧職にあって戒名授与する立場にあれば、少なからず関心のあるところと思う。そこで若干の補足として、江戸時代の禅僧が与えた戒名の例をご紹介したい。 その禅僧とは、玄楼奥龍(1720…

【真読】 №56「鐘(ツリガネ)」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号29 『名義集』に曰く、「犍椎(ケンチ)、『声論』に磬となして翻す。また鐘と翻す」。 ○『増一阿含経』に云く、「もし鐘を打つ時には、一切悪道の諸苦並びに皆な停止す」。 ○『付法蔵伝』…

雨の西麻布

18歳から22歳の四年間を一緒に過ごした。 このメンツが一堂に会するの32年ぶり。この時間のブランク感が全くない。一気にわいがや。 集合場所の表参道B3出口からアンティック通りと呼ばれていた路を別院へ。折からの雨。町並みはすっかり変わっている。富…

よこみち【真読】№55「きっかけは〈鈴〉」

「奥様のお名前は、〈れいこ〉さんですかそれとも〈りんこ〉さんと訓むのですか?」 「いや、〈すずこ〉です」 あるお葬式の事前打ち合わせ、喪主である故人の夫とのやり取りである。 〈鈴子〉と書いて〈すずこ〉と訓む例はあまり知らなかった。 その病が見…

【真読】 №55「鈴(リン)」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号29 これもまた仏前の鳴り物なり。その形、鈴の属なればこれに称す。唐音を用いて鈴(リン)と呼ぶなり。密家にはこれを金鋺(カナマリ)と云う。儀軌の中に出づ。

よこみち【真読】№54「猫に小判」

「カン・オツ・モン、の三種の音を自在に調節できるのが磬子職人です」 と自信に満ちて語るこの人、三代目昇龍を名乗る業界では知られた職人さんだった。その説明に依れば、棓(バイ)が磬子に当たった刹那に鳴る音がカン(甲)、言ってみれば「ゴオ~~ン」…

【真読】 №54「磬(ケイ)」巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号29 仏前法用のとき先ず磬を鳴らすことは、本尊諸天を警覚するためなり。 ○梵語の犍椎(ケンチ)を、『声論』に磬と翻す。しかるに磬と鐘とは大いに殊なれり。しかるをなにに依てか『声論』…

よこみち【真読】№53「仏教と修験道の間に」

本編№53「法螺」をアップしたその日から、偶々神奈川県大雄山最乗寺で三日間を過ごした。曹洞宗修行道場として知られるこの寺は、もう一つ「道了尊」の寺としても知られる。 最乗寺開山了庵禅師に仕え、寺基開創にあたり500人力の大力量をもって貢献し、了庵…

【真読】 №53「法螺」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号28 問う、「法事に法螺を吹くは、何のためぞ」。 答えて曰く、「仏の説法の音声の幖幟なり」(『大日経疏』十六の五「仏頂」の中の、「無量仏頂の三摩耶形を珂貝とす」とはこの義なり。珂貝…

よこみち【真読】№51&52「ジャランボン」

荼毘送りの行列。 四本の龍頭を先頭に遺族と集落民総出で故人の亡骸を墓所まで送る。今ではほとんど行われなくなった。 私の住む秋田県北秋田市の一地域の例。 集落に死者が出ると、「ハナヒキ」の男衆が葬家に集まってくる。 先ずは枕飾りの準備。ハヤダン…

【真読】 №51「鐃」& №52「鈸」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号28 №51「鐃」 古書を考えるに鐃(にょう)も鈸(はち)も同じ属(たぐ)いにして、古えの楽器なり。『事物紀原』に見えたり。または軍器にも用ゆ。『韻会』に云く、「鐃は泥交の切」。『説…

よこみち【真読】№50「享楽と禁欲」

本編№46以来、「よこみち」でもいく度か触れてきたことだが、こと〈音楽〉という窓を通してみた時、仏教の特色の一つが露わになる。それは仏教の禁欲的傾向と云うこと。 華やかな衣装をまとった天女や菩薩達の奏する音楽は、いかにも心を和ませ、編著者子登…

【真読】 №50「音楽の説」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

【真読】 №50「音楽テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号27 楽をなして三宝に供養すれば功徳甚深なり。ゆえに『法華経』(方便品)偈に曰く、「もし人をして楽をなさしめ、鼓を撃ち、角貝を吹き、簫笛・琴・箜篌(くご)・琵琶…

よこみち【真読】№49「宴だ!」

天の岩戸に隠れた天照大神を外へ誘い出す方法を画策した神々が、にぎやかな大宴会をくり広げたくだりに出逢った時、神様達って陽気だなあと思った。なにに比べてって、仏菩薩達に比べて。 飲めや歌えの大騒ぎは、アメノウズメの登場を得てさらにエスカレート…

【真読】 №49「音楽の功能」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号27 『陀羅尼集経』第五「その華香を諸仏の会に散じ、種々の作法をし、屈曲の声韻をもって称賛し、囲繞して、礼拝し、及び梵音皷琴の声を作す(これ音楽なり)。唄を歌詠する響き、種々の声…

よこみち【真読】№48「歌声に包まれて」

本編の「梵唄過まり唱う」とは、唱える文句を間違うということではない。定められた「音」を間違える、ということだ。 このこと、私のように仏教声明の音楽的詠唱に不慣れな者にとっては少なからず驚きがあった。 日本における禅宗、就中曹洞宗教団には中国…

【真読】 №48「梵唄過まり唱うは咎あり」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号27 愚按ずるに、今末世の僧の梵唄を唱うる多くは、呂律(りょりつ)を糾(ただ)さず、五音(いん)を分かたず、ただ口にまかせて恣(ほしいまま)にす。恐らくは五種の過患に堕(おち)ん。…

よこみち【真読】№47「声明と転読」

今回の本編の文章、初めて読んだのは十数年前のことになる。それは「転読」について、ある別の資料を読んでいた時のことだった。その時以来、「転読」と「声明」についてある見通しが出来、考えもまとまってきた。このたびの「よこみち」は、そうした自分の…

詠讃歌講の「信条」について

先に、愛知県龍拈寺所蔵の久我尚寛師範関係資料を紹介する次いで、梅花流の「信条」について述べた経緯がある。 http://ryusen301.hatenablog.com/entry/2015/04/15/092842 これについて、その後若干見解の修正を行いたい。備忘録代わりのblogではあるが、一…

【真読】 №47「梵唄曲節の濫觴」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号27 今に至って伝うる所の梵唄の曲節は、魏の武帝第四の子、陳思王・曹子建より始まる。 ○『仏道論衡』にいわく、「陳思王、毎(つね)に仏経を読みてもって至道の宗極となす。転読七声の升…

よこみち【真読】№46「人面鳥の系譜」

仏教神話(というジャンルが仮にあるとして)における音楽の妖精とも言えるのが迦陵頻伽(かりょうびんが)だ。妙音、美声など、この異形の生き物に託されている能力は仏教の枠を越えて広く知られている。本編の要点はその「音楽」に関わるところなのだが、…

【真読】 №46「梵唄(ぼんばい)」 巻二〈音楽部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

画像は「迦陵頻伽(かりょうびんが)」 テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号27 梵唄は法事の声明なり。しかるに天竺の梵唄は漢土の讃詞を咏歌の如きものなり。ゆえに『要集』にこれを釈していわく、「経にいう、“微妙の音声を…

よこみち【真読】№45「愛のゆくえ」

インド仏教専攻のさる大学教授。 教え子の結婚式に招かれるとスピーチによくこんな話を披露していた。 「お釈迦様も、夫は妻に宝飾品を買い与えることを勧めています。新郎もこれからかくあらねばなりません」 なるほど。結婚生活とはかくも一方的なものだと…

【真読】 №45「羅網(らもう)」 巻二〈厳具部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号26 世俗、羅網を神社の具と思えるは誤れり。もと仏前の荘厳の具なり。ゆえに『般若軌』(集経)の二十一種の供物に、「第二十、宝真珠網」と云えり。 また『上生兜卒経』にいわく、「一一の…

LOST

8月5日の夜。 近年では珍しい50人になろうとする参加者となった「子供禅のつどい」。当番会場のうちでは子供たちも寝静まり、缶ビールで始めた夜参も店じまいして部屋に上がろうとすると、まだ起きていたこいつが鼻を鳴らしながら足元にすり寄ってくる。「水…

よこみち【真読】№44「秘められたる “ X ”」

秘仏、霊像、本尊・・さらにいくつかの名称を持つ礼拝の対象。便宜上ここでは“X”としておこう。 Xの正体はふだんは隠されている。そして多くの人はこのXに惹きつけられている。Xの姿を見たい。あるいはXに触れたい。Xを独占したい。それほどに魅力的な…

【真読】 №44「斗帳」 巻二〈供養部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

https://youtu.be/8x5tRFKCN10 テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号26 『陀羅尼集経』第三「般若軌」に、二十一種の供養物を説く中に、「第七には宝帳」と云へる、すなわちこれなり。 ○また『七倶胝準提陀羅尼経』にいわく、「…

やばい。

はまってしまった。 野菜作り。 これまでは母の作っていた畑の余地でズッキーニやらちまちまと作っていただけだが、今春より足を悪くした母が畑作リタイア宣言。 規模は小さくしていいから、ちまちまっとやってみるか。となりなりスタートしたのが5月頃。土…

よこみち【真読】№43 「金襴ときりたんぽ」

近頃、自宅で会葬者を招き葬儀を行うという家が、ぐんと少なくなった。幸い田舎の地域なので街場の葬祭ホールで行う例はまだ少なく、8割以上はお寺のご本堂で行う。年忌のご法事の場合は、まだ自宅で行う場合もそこそこあるが、以前よりはやはり減った。 自…