【世読】No.8「参(サン・マイル)」巻一〈倭文用語類〉(web読書会『世説故事苑』)
これも禅家より出たり。禅家に朝の上堂を早参と云い、暮に看経するを晩参と云い、不時に説法するを小参と云う。総じて和尚に拝謁して法を問うを参ずると云う。
今俗に彼(かしこ)に到るを参すると云い、参(まいる)と云うこれに依ってなり。参の字義はまじわると云う義なり。故にまじわりにいたると云うを中略して参の字をまいると読せたり。[この訓正しく参詣の二字なり]次下に引く『事苑』の釈を見ばこれ等の義善く会すべし。
○『祖庭事苑』八に曰く。「禅門詰旦に昇堂す、これを早参と謂う。日晡に念誦するこれを晩参と謂う。非時の説法これを小(しょう)参(さん)と謂う。それこれ皆な以てこれを参と謂うは何ぞや。曰く“参の言為(ことたる)それ広くして且つ大なり。謂く幽顕皆な集まり神龍並び臻(いた)る。既に聖凡間(へだ)つること無し豈に輙(たやすく)僧俗を分たんや。ここを以てこれを参と謂う」。