BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

【真読】 №130「霊場に女人を禁ず」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号56

 問う、「霊場に女人を禁ずるところ多し。その謂い、如何」。
 答えて云く、「密院には殊に女人を禁ずべし。吾が祖の遺誡にも〈僧房に女人を入るるを禁ずべし〉の一條あり。女人の容色を視れば、行者の心乱れて呪力なからしむ。ゆえに秘経に深く誡めたまう。『蘇婆呼童子経』一に云く〈女人、色をよくして巧みに笑み、嬌(なまめかし)く言い、性、衿荘を愛す。行歩妖艶にして、姿態をもって男子を動かし、心迷惑乱せしむ。真言を持する者、むしろ火星を眼中に流入し、双目を失して盲(めしい)て見る所無くしても、乱心を以て女色を観視し、種々の相好美麗によって、分別すること無かれ。念誦の者をして、威力を無からしめん〉と」。
 私に云く、已上は秘経の本説をもって密院に女人を禁ずるゆえんを出せり。総じて僧房に女人を入るる過(とが)は、『行持鈔』に弁ずるがごとし。