BON's diary

「何考えてんだ、お前はっ!」 「い、いろんなこと」

仏事習俗

よこみち【真読】№139「世渡り上手は嫌われる?」

知に働けば角が立つ、情に棹させば流される。 さとりにたどり着けぬ、迷いに閉ざされた領域、そのそれぞれを八種に分かって三塗(途とも)八難という。その八番目「世智弁聡」。中村『仏教語大辞典』には、「世俗のことにさかしく利口なさま。世渡りの智慧が…

【真読】 №139「世間の学」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号59 俗典に達し、詩文を巧みにし、書を能くする等は、並びに世法なるを以て僧の事(わざ)とするに非ず。然りといえども外道を伏するために外書を学せよと『四分律』にこれを聞く。このゆえ…

よこみち【真読】 №138「仏教儀礼の執物」

執物(とりもの)。神道儀礼ではよく知られた名前。 たとえば『神道辞典』は、「採物 神楽などの神事芸能で舞人が手に持って舞う物。執物、取物とも記す。あるいは神事・舞に用いる用具を清めるための舞において、舞人が手にする物を採物ということがある。…

【真読】 №138「扇を執るは僧の礼」 巻四〈送終部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号59 僧の扇を執るは、これ礼なりとす。 『要覧』に云く、西天、多くは扇を執る。『阿含経』に云へるごときは、阿難と羅云(らうん)と皆な扇を執りて仏に侍す。優婆律蔵を結集するとき、波斯…

よこみち【真読】№137「あなたも私もありがとう」

乞食・托鉢の話題は本編の巻三№69「托鉢の僧に施す」でも取りあげていて、そのよこみち「マジメだけじゃ、つまんない」で行乞に関わるいくつかの説を紹介した。http://ryusen301.hatenablog.com/entry/2016/01/17/101801http://ryusen301.hatenablog.com/ent…

【真読】 №137「乞食(こつじき)の法」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号59 今の托鉢の僧をみるに、多くは口を養うためのみ。なんぞ杜多(づだ)の浄行ならむ。まことに誡むべし。このゆえに如法を知らしむ。 『行事鈔』に『四分律』を引いて云く、比丘、村に入て…

よこみち【真読】 №136「業のことなど」

業の問題をしばしば取りあげている道元だが、今回の本編のテーマに触れて、永平広録の中の次の説示を取りあげてみたい。 それは広録巻7-517上堂である。 闍夜多(しゃやた)大士と鳩摩羅多(くもらた)尊者の問答に因んで道元が展開する場面だ。 大士が尊…

【真読】 №136「業報は聖者も免れず」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号58 『増一阿含』に云く、大目連、乞食に出て梵志に囲まれ、瓦石を以て骨肉を打たるる。これ往業に依てなり。 それより還りみれば、舎利弗、風の疾いを以て先だって入滅す。三界の諸天、涙を…

よこみち【真読】 №135「ゆれる思い出」

小学校の頃、なにか不始末をやらかして「罰として一週間の便所掃除!」などと先生に叱られる・・そんな場面が記憶にある。 「罰」として成り立つということは、一般にはイヤな、耐えがたいことだからだと思うが、そんなイヤなことをさせられるのが「便所掃除…

【真読】 №135「厠を浄むる功徳」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号58 『虚空蔵経』に曰く、もし懺罪の人あらんに、厠を治すること八百日すれば、よく罪咎を滅す(要覧)。雪竇(せっちょう)禅師、霊隠寺の厠を掃除する役お司りしもこれに依ってなり。義堂…

よこみち【真読】 №134「ドライとウェット」

ときどきその解説に違和感を感じる所のある『真俗仏事篇』だが、今回のテーマがそうだった。 いわく、「寄付とはあづける義にして、与ふる義にはあらず」。 これまで寄付とは布施とほぼ同意で、したがって「喜捨」ということだと思っていた。たとえば寺院に…

【真読】 №134「寄付」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号57 今、什器など寺院に納むるを寄付と云う。按ずるに寄付の文字、『優婆塞戒経』に出たり。しかるに経の寄付の字義はあづける義にして、与ふる義にあらず。然れば今、寄付と云うは器財を寺…

よこみち【真読】 №133「親孝行、したい時には・・」

恩愛に関する話題はきっと私の中でも関心の度合いが高いのだろう。「流転三界中 恩愛不能断 棄恩入無為 真実報恩者」 この言葉に関するテーマは、これまでにも両親への孝養や、本朝高僧傳史上最も孝をつくしたと伝えられる元政のことなどたびたび取り上げて…

【真読】 №133「父母を寺に養う」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号57 僧に貧銭の父母あって寺に養はるるあり。三宝物を費やすゆえに、たとい親なりとも罪を結せんかと疑う者あり。 僧はなお孝養を知るべし。なんぞ疑はん。今『行持鈔』の説を出す、これを読…

よこみち【真読】№132「暮らしのおなやみ解決します」

日常的な仏事の疑問回答集というスタイルの『真俗仏事篇』において、今回のような話題はやや異質だった。吠える犬を制する・・。 こんなおよそ「仏事」とは遠い話題もしばしば出てくるところがこの本のおもしろいところなのだが、こんなところにオモシロサを…

【真読】 №132「吠える犬を制する法」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号57 俗説に、狗が吠えかかる時、手を握って向かえば犬退く、これ犬を畏(おど)す術と云う。 按ずるにこれもまた秘軌より出てて俗に伝ふるか。『大元帥軌』中(十三葉)云く、「もし犬、人を…

よこみち【真読】No.131「猫を虐待する僧侶に関する件についての一考察」

www.youtube.com お寺と猫とくれば「山寺の和尚さん」がすぐに思い出される。 さて、と調べてみるとやはり探求好きな方は世に少なくないようで、たちまちあれこれの情報にネット検索は導いてくれた。 いわく、早期和製ジャズがオリジナル。 いわく、江戸期の…

【真読】 №131「猫を蓄うことを禁ず」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号56 猫を飼うは殺生の咎(とが)をもって戒疏にこれを禁ず。密部には『蘇婆呼童子経』の中に曰く、「猫・狸・羖(ひつじ)・羊を蓄うことなかれ、(乃至)かくの如くの人今世・後世に真言を…

よこみち【真読】№130「ガラスのごとき・・・」

「お坊さんって、女性恐怖症じゃない?」 と、誰かからはっきり聞いたわけでもないし、そんな文章を読んだという定かな記憶があるわけではないが、でも誰かがきっとしゃべっていそうな気がする。少なくとも今回の本編のような文章に触れると自分などはそうい…

【真読】 №130「霊場に女人を禁ず」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号56 問う、「霊場に女人を禁ずるところ多し。その謂い、如何」。 答えて云く、「密院には殊に女人を禁ずべし。吾が祖の遺誡にも〈僧房に女人を入るるを禁ずべし〉の一條あり。女人の容色を視…

よこみち【真読】№129「ストイックさの彼岸」

『真俗仏事編』を読んできて思う一つに、編者子登の現実を見る目が寛容的だということがある。以前、在家の斎会に酒を勧められたらどうする、という話題を扱ったことがあったが、その時にもそう感じた。http://ryusen301.hatenablog.com/entry/2016/01/15/08…

【真読】 №129「蚕衣ならびに金襴衣」 巻六〈雑記部之余〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

字書に蚕は蠶と通用す。 問う、律に拠れば布の袈裟を如法とす。蚕衣の袈裟を用ふるは非法なるか。 答て曰く、道宣律師は蚕衣を制したまい、義浄三蔵は蚕衣を大乗の了義なりとして開したまう。今略してこれを弁ぜん。 南山道宣律師、天人に蚕衣を如法なるかと…

よこみち【真読】№128 大きな声では言えないが、小さな声では聞こえない

人さし指を口に当てる、このポーズ、「静かにして」という意味とともに、「内緒にして」という意味をも表す。本編では前者のつもりでつかったので、よこみちでは後者といこう。 その1 まだスマホなど出回る以前の頃、携帯電話の着信音をおもしろ半分に笑点…

【真読】 №128「念誦の音声」 巻五〈雑記部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号54 真言を唱ふるに音を出すも出さざるも各々その効能あり。『阿噌力経』(二十一葉)に曰く、「但し心に誦して音を出さざれば、よく一切の前身の中の所作の一切の悪業罪障を滅す。声を出し…

よこみち【真読】№127「勧進帳」

同じ業界の方たちなら今回の本編、誰しもが身に憶えのあることだろう。暗記していたはずの経文が出てこない。後ろにいる檀信徒の不審がる気配がびんびん伝わる。とっさに経の出だしからやり直すが、やはり途切れたところまで来るとその先が出てこない。仕方…

【真読】 №127「経を置いて忘れに備う」 巻五〈雑記部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号54 経を読むに、たとひ諳んずるとも本を看るべし。恐らくは文字を失(あやま)り、あるいは忘れあらんかと。『瞿醘経』下の三葉に見たり。

よこみち【真読】№126「無間と無限」

本編の「無間一切時」という言葉だが、その語彙も文脈上の意味も「間断することのないあらゆる時間」をさす。無間地獄という場合もこれと同じだ。寸刻も休むひまのない地獄。だが無間地獄と聞いて「無限に続く地獄」と受けとめてしまう人も少なくはないだろ…

【真読】 №126「勤行の時」 巻五〈雑記部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

問う、仏前に看経勤行すること、世俗には朝夕の二時に限ると思えり。 答えて曰く、必ずしも二時に局(かぎ)らず。『時處軌』に曰く、四時(晨・午・昏・夜半)、三時(晨・午・昏)、二時(晨・午)、一時(暇を得るに随う)、無間一切時(行住坐臥に修する…

よこみち【真読】№125「五体投地」

祖父の真前にお参りをしたいと、生前親交のあったご老師がお見えになった。黒衣に木蘭色のお袈裟に改められたご老師を、開山堂に並んでいる歴代住職の位牌の前にご案内した。ご老師はおもむろに礼拝をし始めた。座具を展べて両膝を着き、両手を仰向けて床に…

【真読】 №125「礼拝」 巻五〈雑記部〉(『和漢真俗仏事編』web読書会)

テキスト http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/818707 コマ番号54 仏を礼するに三拝をなさしむるは『智度論』に曰く、三毒を滅し、三宝を敬い、三身を求め、三界をなす等と(『義楚六帖』)。 ○『増一阿含経』に礼拝の五功徳を説きたまえり。 一には、端…